教員の精神疾患が増え続ける理由|高給や免許緩和では解決しない現場の現実

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教員のメンタル崩壊が止まらない理由──「勉強をラクに」「高給」で解決しようとする危うさ

精神疾患による教職員の休職者が、2年連続で7000人を超えたという調査結果が報じられました。原因の上位には「児童生徒への指導」「職場の対人関係」が挙げられています。

この問題に対し、教員免許取得に必要な単位数を減らす、高額な給与を提示するといった「入り口」を緩める政策が検討されています。しかし、それは本当に根本的な解決なのでしょうか。教育現場の実情と、若者を惹きつける政策の危うさを重ねて考えます。


① 精神疾患で休む教員が増え続ける現実

教員の精神疾患による休職者数が高止まりしている背景には、業務量の多さだけでなく、対人関係の負荷があります。

児童生徒への対応、保護者対応、同僚や管理職との関係。教育現場は常に「人」と向き合い続ける職場です。

しかも一度心身をすり減らすと、回復には長い時間がかかり、その後の働き方や人生設計、さらには家族や周囲の人間関係にまで、長期的で深刻な影響を及ぼします。

教員のメンタル不調は、個人の問題ではなく、構造的な問題として捉える必要があります。


② 分業体制や労働環境が変わらない限り、悪循環は止まらない

「働きやすい分業体制や労働環境そのものが改善されない限り、免許取得に必要な単位数を減らしたり、給与を引き上げたりといった表面的な対策だけでは、教員不足をめぐる悪循環は解消されない」

これは、実際に多くの共感を集めた意見です。

教員の仕事は、本来授業や生徒理解が中心であるはずですが、現実には事務作業、調整業務、トラブル対応が肥大化しています。

分業されるべき仕事が個人に集中し続ける限り、どれだけ入り口を広げても、中で人が倒れ続ける構造は変わりません。


③ 「勉強をラクに」「高給」をエサにする政策の危うさ

若者を集めるために、「勉強をラクにする」「給料を上げる」という打ち出し方をすること自体は、一見すると合理的に見えます。

しかし、それが仕事の厳しさや責任、精神的負荷を語らないまま行われるなら、それは希望ではなく誘導です。

若者は不安を抱えています。だからこそ、「考えなくていい」「条件がいい」という言葉は強く響きます。

ですが、現実とのギャップが大きければ大きいほど、入ってから壊れてしまう人が増えるだけです。それは本人にとっても、社会にとっても不幸です。


④ 本当に必要なのは「考え続けられる余地」を残すこと

教育現場に必要なのは、人を増やすことだけではありません。

一人ひとりが無理をしすぎず、考え、相談し、立ち止まれる余地を残すこと。役割を分け、責任を分散し、「一人で抱え込まない仕組み」をつくることです。

簡単な答えを提示することは、短期的には魅力的に見えます。しかし、長期的に社会を支えるのは、丁寧に考え続ける人と構造です。

教員不足の問題は、教育だけの話ではありません。私たちの社会が、「人をどう扱ってきたか」を映す鏡なのです。

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